X、StripeをX Moneyに置き換え:イーロン・マスクの「everything app」構想が現実のものに
合同会社Fujigoソフトウェアソリューション
M&C Holdings(日本)のメンバー

「everything app」戦略の転換点
2026年9月2日、イーロン・マスクはX(旧Twitter)を「everything app」に変えるという夢を実現する重要な一歩を踏み出した。米国のクリエイターに対する全報酬支払いをStripeからX Money — プラットフォーム独自の決済サービス — に移行すると正式に発表したのだ。これは単なる技術的な変更ではなく、マスクのフィンテックへの野望を明確に示すシグナルである。
公式発表によると、Original Content Rewardsプログラムとサブスクリプション収益からのクリエイター報酬は、本日付で全てX Moneyを通じて処理される。米国以外のクリエイターは引き続きStripe経由で支払いを受けるが、最大の市場である米国ではX Moneyが完全に置き換わったことになる。
「この新しい決済システムの利点は、支払いが即座に処理されることです。請求サイクルの終わりまで待ったり、クリエイターが資金にアクセスするために最低$30の閾値に達したりする必要がありません」とTechCrunchは報じている。以前、Xは2週間ごとに最低$30の閾値付きで報酬を処理していた。
X Money:単なる電子ウォレットではない
X Moneyは銀行ではないが、フル機能のデジタルバンキングサービスを提供している。口座はFDIC保険に加入するCross River Bankに預け入れられている。サービスには3%キャッシュバックのバンクカード、即時決済、無料ATM出金、その他のフィンテック機能が含まれる。
特に、クリエイター報酬はX Moneyの高金利を受けるためのダイレクトデポジット要件にカウントされる。X Premiumユーザーは標準ユーザーの4%に対し6%の金利を受け取れる — クリエイターがX Moneyに移行する明確なインセンティブだ。
Xは個人クリエイターに対して1099-NECフォームを発行することも約束している。LLCの場合はW-9情報を収集し、税務書類の正確性を確保する。
クリエイターエコノミーへの影響
この決定は議論を呼んでいる。Xは「即時支払い」の利点を強調しているものの、米国のクリエイターにX Moneyの使用を強制し、Stripeの選択肢を排除したことは、単一プラットフォームへの依存に関する懸念を生んでいる。
「しかし、発表の文言は、プラットフォーム上で支払いを受け取る他の選択肢がないことを示しているように見える。つまり、Xはクリエイターが以前のStripeによる支払い方法を維持したい場合でも、X Moneyの使用を強制している」とTechCrunchは指摘している。
これはより大きな戦略の一環でもある。9月7日、XはCreator Revenue Sharing Program — 先月新規登録を停止した旧プログラム — を廃止する。クリエイターはOriginal Content Rewards Programへ移行されており、広告収益の単なる分配ではなくオリジナルコンテンツが重視される。
日本市場への示唆
XとX Moneyの動きは、日本のフィンテック市場にも重要な示唆を与えている。
第一に、エコシステムの力。 数億人のユーザーを持つプラットフォームでは、金融サービスの統合が現実的かつ魅力的になる。Xはゼロから銀行を構築する必要はない — 既存の銀行インフラ(Cross River Bank)の上にサービス層を作るだけだ。
第二に、クリエイターエコノミーの変化。 クリエイターはもはや2週間の支払いサイクルに満足しない。資金への即時アクセスを求めている。日本のTikTok、YouTubeなどのプラットフォームもこのニーズを検討する必要がある。
第三に、規制対応は必須。 Xは1099-NEC、W-9の処理、FDIC保険の遵守に対応しなければならない。日本でも、フィンテック企業は金融庁や関連機関からの同様の要件に直面する。
第四に、「everything app」はもはや夢ではない。 WeChatが中国でこのモデルを証明した。Xは西洋でそれを再現しようとしている。LINE PayやPayPayなどの日本のスーパーアプリも同様の道を歩めるかどうか、注目に値する。
X Moneyの未来
クリエイター報酬の統合により、X Moneyは急速に拡大している。しかし大きな疑問は、ユーザーがStripe、PayPal、または他の伝統的な決済サービスから離れて、Xの内部ソリューションを使用する準備ができているかどうかだ。
クリエイターにとって、利点は明確だ:即時支払い、3%キャッシュバック、より高い金利。しかしリスクも小さくない:単一プラットフォームへの依存、そしてXがポリシーを変更した場合、クリエイターには他の選択肢がない。
これはイーロン・マスクの大胆な一手であり、市場はX Moneyが伝統的なフィンテックと競争できるかどうかを見守っていくだろう。
出典: X shifts US creator payouts from Stripe to X Money — TechCrunch、2026年9月2日; X Replaces Stripe With X Money for US Creator Payouts — PYMNTS、2026年9月2日