データ駆動のコーチングプロセス:試合から次の練習へ
合同会社Fujigoソフトウェアソリューション
M&C Holdings(日本)のメンバー

試合後、「チームのプレーが良くなかった」と感じます。しかし、「良くなかった」とは具体的に何?そして翌週の練習では何をする?データ駆動のコーチングプロセスが、正確な答えを出します。
はじめに
試合後、コーチはこう感じます。「チームのプレーが良くなかった」「守備を改善したい」「攻撃に鋭さがない」。しかし、こうした感覚は曖昧です。具体的な課題を指し示せず、次の練習での具体的な行動にもつながりません。
データ駆動のコーチングプロセスは、感覚をデータに変換します。成功基準を3段階で評価し、具体的な課題を発見し、次の練習に反映する。Football Syllabus がサポートする、閉じたサイクルです。
1. 5つのステップ
ステップ1:試合を記録する
試合後に基本情報を記録します。
- 相手、大会、スコア
- 日時、場所
- 試合動画(あれば)
ステップ2:成功基準を評価する
チームのゲームモデルを開き、現在のピリオドで設定した成功基準を確認します。各成功基準を3段階で評価します。
- 達成:基準が十分に満たされた
- 一部達成:基準が部分的に満たされた
- 未達成:基準が満たされなかった
例:
| 成功基準 | 結果 |
|---|---|
| サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合 | 一部達成(3回のみ) |
| サイドから逆サイドへの展開 ≥ 3回/試合 | 達成(5回) |
| 相手最終 thirds でのボール保持率 ≥ 60% | 未達成(45%のみ) |
ステップ3:動画を紐づける
試合動画があれば、各成功基準に関連する動画クリップを紐づけます。例:
- 「サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける」基準:23分、45分、67分のクリップを紐づけ
- 「相手最終 thirds でのボール保持率」基準:12分、34分、56分のクリップを紐づけ(ボールを失った場面)
ステップ4:課題を発見する
評価結果と動画を確認し、具体的な課題を発見します。
- 「サイドバックが相手最終 thirds で十分にボールを受けていない」→ 課題:MFがサイドバックにパスを出していない、またはサイドバックが十分に押し上げていない
- 「相手最終 thirds でのボール保持率が低い」→ 課題:選手のオフ・ザ・ボールの動きが少ない、またはパスのスピードが遅い
ステップ5:次の練習を調整する
発見した課題に基づき、具体的な目標に貢献する練習メニューを選びます。
- 課題:「MFがサイドバックにパスを出していない」→ 練習メニュー:「相手最終 thirds での4vs2、MFがサイドバックにパスを出してからシュート」
- 課題:「選手のオフ・ザ・ボールの動きが少ない」→ 練習メニュー:「6vs4、ボールを持っていない選手はボールを受ける前にスペースに動き出す」
2. 伝統的な方法との比較
伝統的な方法:試合後の感覚
試合後、コーチはこう言います。「チームのプレーが良くなかった、守備を改善しよう」。翌週の練習:「もっと良い守備をしよう」。
限界:
- 「もっと良い守備」は具体的ではない——選手は何をすべきかわからない
- 進歩を評価する基準がない
- 具体的な課題を見逃しやすい
データ駆動の方法:成功基準の評価
試合後、コーチは成功基準を評価します。「サイドバックが相手最終 thirds でボールを受けたのは3回のみ、目標は5回」。翌週の練習:「相手最終 thirds での4vs2、サイドバックがボールを受けて中にパスを出す」。
メリット:
- 「サイドバックがボールを受ける ≥ 5回」は具体的——選手は何をすべきかわかる
- 進歩を評価する基準がある:先週2回、今週4回、来週6回
- 具体的な課題を発見できる:MFがサイドバックにパスを出していない
3. 実践例:Build UpピリオドのU-12
背景
U-12チームは「Build Up」ピリオド——後方からの攻撃構築——の真っ最中。ゲームモデルには以下の成功基準があります。
- 「サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合」
- 「サイドから逆サイドへの展開 ≥ 3回/試合」
- 「相手最終 thirds でのボール保持率 ≥ 60%」
第1試合
結果:
| 成功基準 | 結果 |
|---|---|
| サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合 | 未達成(2回) |
| サイドから逆サイドへの展開 ≥ 3回/試合 | 達成(4回) |
| 相手最終 thirds でのボール保持率 ≥ 60% | 未達成(40%) |
課題の発見:
- サイドバックが十分にボールを受けていない → MFがサイドバックにパスを出していない、またはサイドバックが十分に押し上げていない
- ボール保持率が低い → 選手のオフ・ザ・ボールの動きが少ない、またはパスのスピードが遅い
翌週の練習:
- 練習1:「相手最終 thirds での4vs2、MFがサイドバックにパスを出してからシュート」
- 練習2:「6vs4、ボールを持っていない選手はボールを受ける前にスペースに動き出す」
第2試合
結果:
| 成功基準 | 結果 |
|---|---|
| サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合 | 一部達成(4回) |
| サイドから逆サイドへの展開 ≥ 3回/試合 | 達成(5回) |
| 相手最終 thirds でのボール保持率 ≥ 60% | 一部達成(55%) |
課題の発見:
- サイドバックのボール受けは4回、目標の5回に近づいている → 継続して練習
- ボール保持率が40%から55%に改善 → 進歩あり、ただしさらに練習が必要
翌週の練習:
- 練習1:「相手最終 thirds での4vs2、サイドバックがボールを受けて中にパスを出す」(継続)
- 練習2:「6vs4、ボールを受けたら3秒以内にパスを出す」(パススピードの改善)
第3試合
結果:
| 成功基準 | 結果 |
|---|---|
| サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合 | 達成(6回) |
| サイドから逆サイドへの展開 ≥ 3回/試合 | 達成(4回) |
| 相手最終 thirds でのボール保持率 ≥ 60% | 達成(65%) |
振り返り:
- すべての成功基準が達成 → 次のピリオドの別の基準に進む
4. Football Syllabusでの閉じたサイクル
ステップ1:試合後に成功基準を評価
Football Syllabus の「Match Review」で試合を選び、各成功基準を3段階で評価します。
ステップ2:動画を紐づける
試合動画をアップロードし、各成功基準に関連するクリップを紐づけます。
ステップ3:レポートを確認
Football Syllabus が自動計算します。
- 達成 / 一部達成 / 未達成の基準数
- 時系列での進捗
- 改善が必要な課題
ステップ4:次の練習メニューを選ぶ
「Session Planner」で、「未達成」または「一部達成」の基準に紐づいた練習メニューを選びます。
ステップ5:PDF教案を出力
A4サイズのPDF教案を出力して、練習に持参します。
5. データ駆動プロセスのメリット
選手が何をすべきかわかる
「もっと良い守備を」ではなく、「サイドバックが相手最終 thirds でボールを受ける回数 ≥ 5回/試合」が目標。
コーチが進歩を評価できる
「チームが良くなった」という感覚ではなく、「先週2回、今週4回、来週6回」というデータがある。
練習が具体的な目標に貢献する
ランダムな練習ではなく、「未達成」の基準を改善するための練習。
コーチングスタッフの認識が一致
各自がバラバラに理解するのではなく、データを一緒に確認して認識を合わせる。
自己評価の資料になる
シーズン終了後、全データを見返して、「チームはどこが伸びたか、どこがまだ弱いのか」を自己評価できる。
6. プロセス導入のコツ
シンプルに始める
最初からすべての成功基準を評価しようとしないでください。最も重要な2〜3の基準から始め、徐々に広げていきましょう。
動画を活用する
動画があれば、感覚ではなく具体的な場面を振り返れます。
選手と議論する
試合後に選手と一緒にデータを見返します。選手は「なぜこの練習をするのか」を理解し、何をすべきかを知ります。
辛抱強く
このプロセスには時間がかかります。3〜5試合後には、明確な進歩が見えてきます。
まとめ
データ駆動のコーチングプロセスは、試合後の感覚を具体的なデータに変換し、次の練習での具体的な行動につなげます。
Football Syllabus は、試合後の成功基準評価、動画の紐づけ、課題発見、目標に貢献する練習メニューの選択、PDF教案の出力をサポートします。
これが、チームを体系的に成長させる閉じたサイクルです。感覚ではなく、データで。