
これまでの記事では、AIエージェントの概念とOpenClawの概要について説明しました。本記事では、具体的なシナリオを通じてOpenClawの実際の動作仕組みを詳しく解説します。
シナリオ:Zaloでの注文状況問い合わせ
背景:
あるオンラインファッションショップは、Zalo公式アカウント(OA)を利用して顧客対応を行っています。注文管理システムはWebベースで、内部APIを備えています。
顧客のメッセージ:
「注文番号DH-20260301の配送状況を教えてください。」
それでは、OpenClawがこのリクエストをどのように処理するのか、順を追って見ていきましょう。
ステップ1:チャネルを通じたメッセージ受信
OpenClawはチャネルを通じてZalo OAと接続しています。顧客がメッセージを送信すると、ZaloのWebhookがその内容をOpenClawに送信します。フレームワークはメッセージを受信し、解析プロセスへ進みます。
補足:
OpenClawは50以上のチャネル(Telegram、WhatsApp、Facebook Messenger、Slackなど)に対応しています。1つのAIエージェントで複数チャネルに対応でき、ロジックの再実装は不要です。
ステップ2:AIモデルによる解析とプランニング
メッセージはAIモデル(例:ClaudeやGPT)に送られ、以下を判断します:
- 意図(Intent): 注文状況の確認
- 抽出情報: 注文番号 = DH-20260301
- 必要なアクション: 注文状況APIの呼び出し
- 使用するツール:
order_status_api
このステップでは、LLMの強みが発揮されます。AIは固定されたシナリオに頼らず、文脈を理解して適切な処理を計画します。
ステップ3:ツールの実行
OpenClawは事前に設定されたツール(注文管理システムの内部API)を呼び出します:
GET /api/orders/DH-20260301/tracking
APIのレスポンス:
- ステータス:配送中
- 配送業者:GHN
- 追跡番号:GHN-987654
- 配送予定日:2026年3月15日
ステップ4:AIによる応答生成
AIモデルは取得したデータをもとに自然な文章を生成し、Zalo経由で顧客に返信します:
「こんにちは。ご注文DH-20260301は現在、GHN(追跡番号:GHN-987654)により配送中です。お届け予定日は2026年3月15日です。GHNのウェブサイトでも追跡が可能です。」
全体の処理は数秒で完了
顧客から見えるのは「質問」と「回答」だけです。しかし裏側では、OpenClawが以下の一連の処理を自動で実行しています:
受信 → 解析 → API呼び出し → 統合 → 応答
人の介入は不要です。
AIが人間のサポートを必要とする場合
OpenClawは多くのタスクを自動処理できますが、以下のようなケースでは人間が関与します:
- AIの対応範囲を超えるリクエスト → 担当者へエスカレーション
- 重要な判断(キャンセル・返金など) → 承認が必要
- 機密性の高い情報 → 専門部署へ引き継ぎ
これは**「AI優先・人間補完(AI-first, human-backup)」**モデルです。
OpenClawにおけるSkillsの強み
本シナリオでは「注文確認」が1つのスキルです。実際には、AIエージェントは複数のスキルを持つことができます:
- 商品検索(価格・仕様確認)
- 予約管理(サービスの予約)
- クレーム分類(問題対応)
- 通知送信(リマインド・プロモーション)
AIはユーザーのメッセージ内容に応じて最適なスキルを自動選択します。一度設定すれば、自動で運用可能です。
まとめ
この例から、OpenClawは以下のような明確なパイプラインで動作していることが分かります:
チャネル → AIモデル → ツール → AI応答
その強みは、ツールとスキルを通じてあらゆるシステムと柔軟に連携できる点にあります。
次回の記事では、ベトナム企業におけるOpenClawの代表的な活用事例5選をご紹介します。
